Nature ハイライト
神経科学:齧歯類における網膜再生
Nature 548, 7665
魚類、鳥類、爬虫類は、損傷後に機能的な網膜ニューロンを再生する能力を維持しているが、哺乳類成体ではこのような形の再生は起こらない。ヒトは、網膜の疾患や損傷による失明が関与するかなりの数の病気に罹患する可能性があるため、哺乳類成体にはなぜこのような再生能がないのかを理解することは重要である。今回T Rehたちは、これまでに魚類で網膜ニューロンの再生を増強することが知られている転写因子Ascl1を、齧歯類のミュラーグリア細胞に発現させた。Ascl1は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤の抑制と組み合わせた場合にのみ、成体マウスで新しい網膜ニューロンの機能的産生を引き起こすことができた。HDAC阻害剤によってAscl1がミュラーグリアの主要な遺伝子座に結合できるようになることで、これらの細胞の網膜ニューロンへの再プログラム化が可能になる。
2017年8月3日号の Nature ハイライト
幹細胞:視床下部は老化速度を制御する
天文学:成層圏を持つ系外惑星
素粒子物理学:反水素のスペクトルを評価する
化学的生命の誕生:柘榴石に見いだされた初期の有機生命体の証拠
感染症:雨林の野生生物への炭疽の脅威
ゲノミクス:デンマークのゲノム塩基配列解読プロジェクト
神経科学:皮質におけるタイムリーな符号化
神経科学:齧歯類における網膜再生
微生物学:ウシからHIV中和抗体を搾る
代謝:AMPK活性化の新しい機構