Nature ハイライト
代謝:AMPK活性化の新しい機構
Nature 548, 7665
AMPKは代謝恒常性の重要な調節因子で、その機能異常は糖尿病、肥満、がんなどのさまざまな病気につながりかねない。グルコース飢餓のようなストレスのかかる状況では、AMPKが活性化することが知られている。グルコースが枯渇すると、グルコース代謝の低下によるATPの減少とAMP、ADPの増加が起こるため、カノニカルなAMP/ADP依存性方式でAMPKが活性化されると考えられてきた。しかし今回、S Linたちは実際にはそうではないことを明らかにした。グルコース飢餓は、AMP/ADPとは無関係に、別の経路を介してAMPKを活性化するのである。解糖の際に、グルコースはフルクトース 1,6-ビスリン酸(FBP)に変換され、これが次いでFBPアルドラーゼによって加工される。グルコースが無い場合、FBPが結合したアルドラーゼが減少し、これがLKB1のリン酸化とAMPKの活性化を引き起こすことが明らかになった。この研究により、FBPがグルコースの入手可能性を知らせる重要な代謝産物であり、FBPアルドラーゼがセンサーとなってこの情報をAMPKに伝達することが明らかになった。
2017年8月3日号の Nature ハイライト
幹細胞:視床下部は老化速度を制御する
天文学:成層圏を持つ系外惑星
素粒子物理学:反水素のスペクトルを評価する
化学的生命の誕生:柘榴石に見いだされた初期の有機生命体の証拠
感染症:雨林の野生生物への炭疽の脅威
ゲノミクス:デンマークのゲノム塩基配列解読プロジェクト
神経科学:皮質におけるタイムリーな符号化
神経科学:齧歯類における網膜再生
微生物学:ウシからHIV中和抗体を搾る
代謝:AMPK活性化の新しい機構