Nature ハイライト
Cover Story:活動の準備:3つの成分からなるタンパク質複合体が迅速な膜融合のために神経小胞を準備する
Nature 548, 7668
活動電位によって神経伝達物質の放出が迅速に誘発されるには、シナプス小胞がシナプス前膜と急速に融合するようプライミングされている必要があるが、小胞のプライミングの分子基盤はまだよく分かっていない。この過程の一部として、SNARE複合体とシナプトタグミン1タンパク質の相互作用がすでに特定されている。今回A Brungerたちは、SNARE複合体(緑、赤、青)、コンプレキシンタンパク質(黄)、シナプトタグミン1(紫)からなるプライミングされた融合前複合体の結晶構造から、小胞のプライミングの描像を完成させた。この複合体は、新たに明らかになったSNARE–コンプレキシン–シナプトタグミン1の三元接触面を含んでおり、この接触面が、準備ができた複合体をプライミングし固定する。活動電位に駆動されたカルシウムイオンが2つのシナプトタグミン1タンパク質に結合して複合体の固定を解除すると、ミリ秒以下の時間スケールで膜融合が誘発される。
2017年8月24日号の Nature ハイライト
微生物学:新生児の敗血症を減らす
発生学:CRISPRにより修正された変異
天文学:重力波を使ってブラックホールのスピンの向きを見分ける
化学:分子メモリーが動作する温度の上昇に高まる期待
大気科学:過去のメタン放出量を再評価する
遺伝学:ハエの翅の進化を予測する
幹細胞:胃組織の維持
幹細胞:血液幹細胞のバーコードによる追跡
細胞生物学:放射線と遺伝毒性物質によるがん複合治療における細胞周期の影響
がん:CDK4/6阻害剤の抗腫瘍効果