Nature ハイライト

幹細胞:胃組織の維持

Nature 548, 7668

胃上皮の再生は、まだ特性が明らかになっていないニッチに常在する長寿命の幹細胞によって駆動されると考えられている。こうした幹細胞は、ピロリ菌(Helicobacter pylori)などの胃の病原体に応答して活性化されることがあるが、その機構についてはよく分かっていない。今回T Meyerたちは、Wnt標的遺伝子の発現が、胃のlgr5+幹細胞の周囲の領域に制限されていることを示している。この領域に隣接する筋繊維芽細胞が、R-spondin 3を幹細胞区画に供給する。R-spondin 3はlgr5細胞をlgr5+細胞に変換できる。また、ピロリ菌感染が筋繊維芽細胞においてR-spondin 3の発現を促すことも分かった。このような間質ニッチ細胞による上皮幹細胞の動態の制御は、上皮の再生の背後にある精巧な機構を示している。

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