Nature ハイライト
幹細胞:胃組織の維持
Nature 548, 7668
胃上皮の再生は、まだ特性が明らかになっていないニッチに常在する長寿命の幹細胞によって駆動されると考えられている。こうした幹細胞は、ピロリ菌(Helicobacter pylori)などの胃の病原体に応答して活性化されることがあるが、その機構についてはよく分かっていない。今回T Meyerたちは、Wnt標的遺伝子の発現が、胃のlgr5+幹細胞の周囲の領域に制限されていることを示している。この領域に隣接する筋繊維芽細胞が、R-spondin 3を幹細胞区画に供給する。R-spondin 3はlgr5−細胞をlgr5+細胞に変換できる。また、ピロリ菌感染が筋繊維芽細胞においてR-spondin 3の発現を促すことも分かった。このような間質ニッチ細胞による上皮幹細胞の動態の制御は、上皮の再生の背後にある精巧な機構を示している。
2017年8月24日号の Nature ハイライト
微生物学:新生児の敗血症を減らす
発生学:CRISPRにより修正された変異
天文学:重力波を使ってブラックホールのスピンの向きを見分ける
化学:分子メモリーが動作する温度の上昇に高まる期待
大気科学:過去のメタン放出量を再評価する
遺伝学:ハエの翅の進化を予測する
幹細胞:胃組織の維持
幹細胞:血液幹細胞のバーコードによる追跡
細胞生物学:放射線と遺伝毒性物質によるがん複合治療における細胞周期の影響
がん:CDK4/6阻害剤の抗腫瘍効果