Nature ハイライト
生物地球化学:藻類が大発生したとき
Nature 548, 7669
カンブリア紀に複雑な動物が突然出現したことは、ダーウィンの悩みの種であり、彼はこれを、自然選択による進化という自身の理論に付きまとう極めて重大な問題であると考えた。今回J Brocksたちは、「カンブリア爆発」に先行して「藻類の繁栄」が存在し、それは全球がほぼ完全に凍結していた可能性がある2つの氷期の合間に起こったことを明らかにしている。堆積物に保存されているさまざまなステロイドは真核生物の特異なマーカーだが、藻類に典型的なステロイドが多く見られるのは、クライオジェニアンのスターティアン氷期(7億2000万~6億6000万年前)とマリノアン氷期(6億5000万~6億3500万年前)の間の短期間のみであった。この比較的短い温暖な期間に、スターティアン氷期の風化作用で流出したリンによって真核生物が繁栄し、これによって、低いリン濃度で生存可能なシアノバクテリアによる地球生態系の完全支配は崩壊した。この「藻類の繁栄」はより連鎖が短くて効率的な食物網を作り出し、生物の大型化および複雑化に向けた競争を激化させ、動物の繁栄を促進したと考えられる。
2017年8月31日号の Nature ハイライト
免疫療法:CRISPRスクリーニングによって、がん免疫療法抵抗性を誘導する遺伝子群が明らかに
微生物学:CRISPR干渉におけるセカンドメッセンジャー
生化学:ホルムアルデヒドの解毒が一炭素代謝を促進する
天文学:強い重力レンズの解析を加速させる機械学習
天文学:さそり座の新星は矮新星になっている
ナノ科学:細胞膜に「穴を開ける」分子機械
古気候学:火山由来の炭素が太古の気候を温暖化した
生物地球化学:藻類が大発生したとき
神経科学:睡眠誘発ニューロン
幹細胞:非ヒト霊長類でのパーキンソン病の緩和