Nature ハイライト
Cover Story:メモリースティック:細胞系譜において後の世代がさらに分裂するかどうかは、受け継がれた因子が決めている
Nature 549, 7672
増殖中の細胞集団が有糸分裂を完了する際には、新しく生じた娘細胞の一部は直ちに次の細胞周期に入るが、他の細胞は静止状態に切り替わる。今回T Meyerたちは、母細胞から受け継いだ競合する記憶によって、次の細胞周期を停止するか開始するかを娘細胞が決定する仕組みを明らかにしている。増殖シグナルによって、母細胞にサイクリンD1メッセンジャーRNA(mRNA)が蓄積される一方で、DNA損傷によって活性化したp53がより多く細胞に含まれるようになる。これらは娘細胞に受け継がれ、サイクリンD1 mRNAがタンパク質に翻訳されるとともに、p53がp21タンパク質の生成を促進する。より多くのサイクリンD1を受け継いだ娘細胞は次の細胞周期を通して活動を継続し、活性化したp53を大量に持つ娘細胞は活動を停止する。これは、DNAの損傷歴が少ない細胞を優先的に選んでより頻繁に増殖させることで、増殖中の細胞集団の健常性を最大にする細胞周期制御システムをもたらしている
2017年9月21日号の Nature ハイライト
神経科学:一連の予想外な神経事象を追跡する
免疫学:ニューロンによる免疫細胞の調節
物性物理学:挟まれたグラフェンが量子相のギャップを埋める
冶金学:工業合金の3D印刷
化学:人工的ジアステレオ異性体
ゲノミクス:ランの起源
神経科学:BRAF変異が脳疾患の原因となる
がん:色素沈着を誘導して皮膚がんを防ぐ
分子進化学:選ばれなかった無数の道
構造生物学:基本転写因子の構造