Nature ハイライト
構造生物学:基本転写因子の構造
Nature 549, 7672
転写因子IIH(TFIIH)は、真核細胞でのRNAポリメラーゼII(Pol II)による遺伝子転写開始に必要とされる基本転写装置の一部である。TFIIHはまた、ヌクレオチド除去DNA修復に必要とされ、ヒトの遺伝疾患のいくつかでは、そのサブユニットの一部に変異が生じている。今回E Nogalesたちは、10個のサブユニットからなるヒトTFIIHの低温電子顕微鏡構造を決定し、ATPアーゼである2つのサブユニットXPBとXPDが支配的な役割を担っている構造を明らかにした。また、疾患に関連する変異もこの構造上に位置付けられた。遊離のTFIIHの構造と、Pol II開始前複合体と複合体を形成したTFIIHの構造との比較から、コンホメーション再編成に関する最初の手掛かりが得られ、転写開始機構の完全な解明がさらに一歩近づいた。
2017年9月21日号の Nature ハイライト
神経科学:一連の予想外な神経事象を追跡する
免疫学:ニューロンによる免疫細胞の調節
物性物理学:挟まれたグラフェンが量子相のギャップを埋める
冶金学:工業合金の3D印刷
化学:人工的ジアステレオ異性体
ゲノミクス:ランの起源
神経科学:BRAF変異が脳疾患の原因となる
がん:色素沈着を誘導して皮膚がんを防ぐ
分子進化学:選ばれなかった無数の道
構造生物学:基本転写因子の構造