Nature ハイライト
物性物理学:挟まれたグラフェンが量子相のギャップを埋める
Nature 549, 7672
この10年でグラフェンは、分数量子ホール領域において出現し得るエキゾチック相の発見を目的とした重要なプラットフォームとして浮上してきた。この領域では、二次元に閉じ込められた電子が高磁場にさらされると、強い相互作用によって複合準粒子が生成される。A Youngたちは今回、そうした研究用の並外れて高い品質のプラットフォームを開発した。著者たちは、二層グラフェンを六方晶窒化ホウ素で挟み、さらにこの構造をグラファイト電子ゲートで挟んだ。その結果、探し求められてきた「偶数分母」状態を含む、さまざまな分数量子ホール相を明瞭に分解することができた。偶数分母状態は、磁場中で生じ量子化コンダクタンスのプラトーを伴ういわゆるランダウ状態の一部が占有された状態を指すものである。この相は、創発的準粒子として非アーベル型エニオンを含むと予測されているので特に興味深く、この準粒子の持つトポロジー的特性を量子情報記憶に利用できる可能性がある。
2017年9月21日号の Nature ハイライト
神経科学:一連の予想外な神経事象を追跡する
免疫学:ニューロンによる免疫細胞の調節
物性物理学:挟まれたグラフェンが量子相のギャップを埋める
冶金学:工業合金の3D印刷
化学:人工的ジアステレオ異性体
ゲノミクス:ランの起源
神経科学:BRAF変異が脳疾患の原因となる
がん:色素沈着を誘導して皮膚がんを防ぐ
分子進化学:選ばれなかった無数の道
構造生物学:基本転写因子の構造