Nature ハイライト
化学:人工的ジアステレオ異性体
Nature 549, 7672
人工分子機械は、進化した生物機械の複雑さ、精密さ、機能に匹敵するようになる可能性があるのかについて議論が交わされており、個々の原子から分子を組み立てることの可能性、実用性、スケーラビリティーについて疑問が生じている。仮想的な「分子アセンブラー(分子組み立て機)」が機能するカギは、この機械装置が反応物を配置する能力である。今回D Leighたちが用いた分子機械は、基質を「捕捉」してこの分子機械の2つの活性化部位のうちの1つに配置し、基質への付加の立体化学を制御することができる。この分子ロボットは、2つの逐次的化学反応において、それらの反応の合間に基質をどう動かすようプログラムされているかに応じて、生成し得る4つのジアステレオ異性体のうちのいずれか1つを生成できた。中には、従来の有機触媒反応では合成できない異性体も含まれていた。
2017年9月21日号の Nature ハイライト
神経科学:一連の予想外な神経事象を追跡する
免疫学:ニューロンによる免疫細胞の調節
物性物理学:挟まれたグラフェンが量子相のギャップを埋める
冶金学:工業合金の3D印刷
化学:人工的ジアステレオ異性体
ゲノミクス:ランの起源
神経科学:BRAF変異が脳疾患の原因となる
がん:色素沈着を誘導して皮膚がんを防ぐ
分子進化学:選ばれなかった無数の道
構造生物学:基本転写因子の構造