Nature ハイライト
構造生物学:イオンチャネルをクローズアップ
Nature 550, 7676
細胞小器官の膜には多数のイオンチャネルが存在していて、濃度勾配の維持やイオンによるシグナル伝達を担っている。TRPML(transient receptor potential mucolipin)チャネルは、エンドリソソームの機能に重要なCa2+放出チャネルである。TRPMLチャネルはメンブレントラフィッキングやエキソサイトーシスなどの生理的過程を調節している一方、TRPML1の変異はリソソーム蓄積症であるムコリピドーシスIV型を引き起こす。今週号では、3編の論文がクライオ(極低温)電子顕微鏡法によって得られたTRPMLチャネルの構造を報告している。S LeeたちはTRPML3の構造を示し、一方、X Liの研究チームとY Jiangの研究チームはそれぞれ、TRPML1の構造を明らかにしている。これら3つの研究から、TRPMLチャネルファミリーの開状態と閉状態が突き止められ、これらのチャネルの調節機構が示された。ほとんどのTRPチャネルと同様、TRPMLは特異的な脂質によりゲート開閉を行うことが可能で、またこれらの研究からは基質の結合とチャネルの活性化についての手掛かりが得られる。
2017年10月19日号の Nature ハイライト
生化学:DNA修復におけるBRCA1の新たな役割
構造生物学:イオンチャネルをクローズアップ
素粒子物理学:反陽子の磁気モーメント
コンピューター科学:量子計算をヒッグス粒子に応用する
ナノスケール材料:膜中の間隙サイズのカチオンによる制御
光学材料:寿命の長い有機蓄光体
神経科学:性回路を形作る社会行動
神経生物学:レット症候群を救済するMeCP2
がん:腫瘍がクロマチン断片を感知する
分子生物学:CRISPRの校正