Nature ハイライト
光学材料:寿命の長い有機蓄光体
Nature 550, 7676
エネルギーを光として長時間にわたって徐々に放出する「夜光」材料の能力は、非常用標識から光学的画像化までさまざまな状況で利用されている。こうした材料の大半は、無機希少元素を使用しており、合成時に極端な処理条件が必要である。今回、嘉部量太と安達千波矢(九州大学)は、別の解決策を提示している。有機発光ダイオードの分野では、有機分子の励起特性はすでに最大限に利用されており、彼らは、この励起特性を化学の力を使って制御し、2種類の単純な分子を混ぜ合わせて、蓄えたエネルギーを光として数秒から数時間にわたって徐々に放出させる方法を示した。安定性の問題はまだ解消されていない(おそらくカプセル化によって解決できる)が、この新材料の透明性、可溶性、柔軟性、色調節性は、さまざまな用途に魅力的である。
2017年10月19日号の Nature ハイライト
生化学:DNA修復におけるBRCA1の新たな役割
構造生物学:イオンチャネルをクローズアップ
素粒子物理学:反陽子の磁気モーメント
コンピューター科学:量子計算をヒッグス粒子に応用する
ナノスケール材料:膜中の間隙サイズのカチオンによる制御
光学材料:寿命の長い有機蓄光体
神経科学:性回路を形作る社会行動
神経生物学:レット症候群を救済するMeCP2
がん:腫瘍がクロマチン断片を感知する
分子生物学:CRISPRの校正