Nature ハイライト
素粒子物理学:反陽子の磁気モーメント
Nature 550, 7676
通常の物質粒子とそれに対応する反物質粒子の基本特性を比較することによって、素粒子物理学の標準模型の重要な要素であるCPT(荷電共役変換、空間反転、時間反転)不変性が検証される。多くの特性は、10億分の1レベルの不確かさで測定されているが、反陽子の磁気モーメントはこれまで、その精度では測定されていなかった。今回C Smorraたちは、この精度を達成し、反陽子の磁気モーメントが核磁子を単位として−2.7928473441 ± 0.0000000042であると報告している。この結果は、陽子の磁気モーメントが同じ単位で2.792847350 ± 0.000000009であることと矛盾しない。CPT不変性を想定すると、これらの2つの値は符号の違いを除いて同じはずなので、この結果によって、特定のCPTの破れの効果に対してより厳しい制約が課されることになる。
2017年10月19日号の Nature ハイライト
生化学:DNA修復におけるBRCA1の新たな役割
構造生物学:イオンチャネルをクローズアップ
素粒子物理学:反陽子の磁気モーメント
コンピューター科学:量子計算をヒッグス粒子に応用する
ナノスケール材料:膜中の間隙サイズのカチオンによる制御
光学材料:寿命の長い有機蓄光体
神経科学:性回路を形作る社会行動
神経生物学:レット症候群を救済するMeCP2
がん:腫瘍がクロマチン断片を感知する
分子生物学:CRISPRの校正