Nature ハイライト
幹細胞:エンハンサークラスターが正常細胞やがん細胞の分化を促進する
Nature 553, 7689
Mycは、新しい血液細胞を作り出す造血の重要な調節因子であり、白血病を含むいくつかのがんではがん遺伝子として機能する。今回A Trumppたちは、これらの条件でのMyc発現の基礎となる詳細な機構について報告している。彼らは、異なる転写因子が結合する複数のモジュールから構成される1つのスーパーエンハンサーを解析した。これらのエンハンサーモジュールの組み合わせによる活性が、造血の異なる段階でのMyc発現レベルを決定していた。このような「血液エンハンサークラスター(BENC)」は、各エンハンサーモジュールから構成される1つのクラスターで、造血幹細胞および造血前駆細胞においてMycの発現を誘導するが、急性骨髄性白血病(AML)細胞でより活性が高く、AMLの維持に必要であった。エンハンサークラスターは、細胞分化における遺伝子発現の正確な調節に重要であるが、乗っ取られるとがんの発生に関与する可能性が示唆された。
2018年1月25日号の Nature ハイライト
神経科学:探索行動と逃避行動の脳による制御
構造生物学:代謝ホルモンの作用機構
天文学:初期宇宙における大質量ブラックホール
応用物理学:立体ディスプレイ
地球科学:地球の核の歴史を明らかにする岩石のプリューム
生物工学:免疫細胞間の相互作用をLIPSTICで標識する
がん:腫瘍は代償を払って治療抵抗性を獲得する
幹細胞:エンハンサークラスターが正常細胞やがん細胞の分化を促進する
ウイルス学:KSHVの構造から得られた、ウイルス複製をストップさせるための手掛かり
酵素機構:酵素ICMTの構造