Nature ハイライト
酵素機構:酵素ICMTの構造
Nature 553, 7689
イソプレニルシステインカルボキシルメチルトランスフェラーゼ(ICMT)は、真核生物が持つ膜内在型の酵素で、RAS GTPアーゼや、それ以外のCAAXタンパク質の露出したプレニルシステイン残基を、小胞体膜でのプロセシングの際にメチル化する。S Longたちは今回、ICMTの結晶構造を、脂質膜に似た環境中でモノボディ阻害剤、補因子、プレニル化基質に似せた脂質分子と複合体を形成した状態で決定した。ICMTの活性部位は細胞質領域から膜内領域へと広がっており、この構造から、酵素が細胞質中のメチル供与体と膜に結合した基質とを近づける仕組みが示される。ICMTの阻害は早老症やがんに対する治療戦略候補であり、構造に関する今回の知見は、小分子の調節因子を合理的に設計するのに役立つだろう。
2018年1月25日号の Nature ハイライト
神経科学:探索行動と逃避行動の脳による制御
構造生物学:代謝ホルモンの作用機構
天文学:初期宇宙における大質量ブラックホール
応用物理学:立体ディスプレイ
地球科学:地球の核の歴史を明らかにする岩石のプリューム
生物工学:免疫細胞間の相互作用をLIPSTICで標識する
がん:腫瘍は代償を払って治療抵抗性を獲得する
幹細胞:エンハンサークラスターが正常細胞やがん細胞の分化を促進する
ウイルス学:KSHVの構造から得られた、ウイルス複製をストップさせるための手掛かり
酵素機構:酵素ICMTの構造