Nature ハイライト
ウイルス学:KSHVの構造から得られた、ウイルス複製をストップさせるための手掛かり
Nature 553, 7689
カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)は、AIDS患者で広く発症するがんであるカポジ肉腫を引き起こす。KSHVは、約3000個のタンパク質からなる巨大なウイルスで、その構造の決定は難問とされてきた。今回H Zhouたちはクライオ(極低温)電子顕微鏡法を用いて、KSHVキャプシドの4.2 Å分解能での構造を解いた。これを基に作られた原子モデルは、変異誘発解析によっても確認され、キャプシドを安定化するのに重要な分子相互作用が明らかになった。著者たちは、ウイルスの複製の阻害にこれらの相互作用が使えることを実験によって示している。
2018年1月25日号の Nature ハイライト
神経科学:探索行動と逃避行動の脳による制御
構造生物学:代謝ホルモンの作用機構
天文学:初期宇宙における大質量ブラックホール
応用物理学:立体ディスプレイ
地球科学:地球の核の歴史を明らかにする岩石のプリューム
生物工学:免疫細胞間の相互作用をLIPSTICで標識する
がん:腫瘍は代償を払って治療抵抗性を獲得する
幹細胞:エンハンサークラスターが正常細胞やがん細胞の分化を促進する
ウイルス学:KSHVの構造から得られた、ウイルス複製をストップさせるための手掛かり
酵素機構:酵素ICMTの構造