Nature ハイライト

Cover Story:極から極へ:最終氷期極大期において北半球の氷床が南半球の気候変動を駆動した仕組み

Nature 554, 7692

表紙は、西南極氷床の沖合にあるアムンゼン海である。今回T Jonesたちは、この海域では約1万6000年前に気候の年々変動が大きく変化したことを明らかにしている。最終氷期極大期には北半球の広範囲が氷で覆われており、南半球の気候に大きな影響を及ぼしていた。氷床は反射率が高く、標高も高かったため、熱帯対流の位置が動いて、熱帯域と西南極を結び付ける大気経路が変化したのである。著者たちは、西南極の氷床コアから得られた水の同位体データを用いて、この影響の効果を追跡している。その結果、最終氷期極大期の南半球高緯度域の気候の年々変動と十年変動が、この1万1700年間のより温暖な完新世における変動の約2倍であったことが見いだされた。彼らは、この結果を通して、両半球の高緯度域の気候の密接なつながりと、両半球の気候を媒介する熱帯の重要な役割を明らかにしている。

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