Nature ハイライト
神経科学:バースト活動と抗うつ薬の関係
Nature 554, 7692
外側手綱核(LHb)は忌避などの否定的な感情に関係する脳領域である。H Huたちは今回2編の論文を発表し、うつ病のラットモデルで、LHbニューロンにおけるバースト発火の役割を明らかにしている。彼らは、1つ目の論文で、抗うつ薬としての作用を持つケタミンが、LHbニューロンのバースト発火を抑制すること、ケタミンが効果を発揮するにはNMDA受容体と低電位感受性T型カルシウムチャネル(T-VSCC)の両方が必要であることを示している。2つ目の論文で著者たちは、このバースト活動を調節すると考えられる機構を明らかにしており、この機構は新しい治療標的となる可能性がある。アストログリアのカリウムチャネルの1つであるKir4.1のレベルは、LHbニューロンの膜過分極の程度とバースト活動、そしてさまざまな齧歯類モデルでのうつ関連行動と相関して変化した。研究チームは、LHbニューロンのバースト活動の阻害は脳の報酬中枢を活性化して気分を高揚させる可能性があると示唆しており、即効性の抗うつ剤開発ためのモデルとなる枠組みを提供した。
2018年2月15日号の Nature ハイライト
植物科学:ミカン類の広がり
神経科学:バースト活動と抗うつ薬の関係
宇宙物理学:脈動するオーロラ
物性物理学:量子スピン液体を実現するハニカム格子
材料科学:欠陥が結晶を癒す
生態学:魚類の相互作用と生態系の安定性
動物行動:社会脳
神経科学:感覚履歴はどのように行動に影響するか
免疫学:腸内の病原性片利共生生物に対して寛容が生じる機構
細胞生物学:「塀の中」での情報伝達