Nature ハイライト
神経科学:感覚履歴はどのように行動に影響するか
Nature 554, 7692
近い過去の感覚経験は、それが現在実行中の課題と関係がなくとも、記憶や知覚に影響を及ぼすことがヒトやサルで知られている。C Brodyたちは今回、感覚刺激履歴がラットの作業記憶にも影響することを示している。作業記憶に関係する領域と考えられている後部頭頂皮質(PPC)を抑制すると、予想に反してラットの記憶と行動課題(2つの聴覚刺激のうち大きい方を選ぶ課題)の成績は向上した。この成績向上の原因は、過去の感覚刺激の影響の選択的減弱だった。電気生理学記録から、PPCニューロンは、現在試行中の刺激よりも過去の試行中の感覚刺激についての情報をより多く保持していることが分かった。この知見は、PPCが近い過去の感覚履歴情報の維持に役割を持つことを示唆している。
2018年2月15日号の Nature ハイライト
植物科学:ミカン類の広がり
神経科学:バースト活動と抗うつ薬の関係
宇宙物理学:脈動するオーロラ
物性物理学:量子スピン液体を実現するハニカム格子
材料科学:欠陥が結晶を癒す
生態学:魚類の相互作用と生態系の安定性
動物行動:社会脳
神経科学:感覚履歴はどのように行動に影響するか
免疫学:腸内の病原性片利共生生物に対して寛容が生じる機構
細胞生物学:「塀の中」での情報伝達