Nature ハイライト

物性物理学:量子スピン液体を実現するハニカム格子

Nature 554, 7692

相互作用するスピンを持つ物質が冷却されると、通常は長距離秩序を伴う磁気状態が現れる。しかし、量子スピン液体と呼ばれる物質、つまりスピンの無秩序状態が保たれる物質では、量子効果によって絶対零度に近い温度まで長距離秩序化が阻まれると予測されている。グラフェンのようなハニカム格子を有する物質においてこのような状態を実現すれば、トポロジカル励起についても明らかになると期待される。高木英典(東京大学ほか)たちは今回、5dハニカムイリジウム酸化物H3LiIr2O6において量子スピン液体状態を実証しており、この物質は0.05 Kまで磁気秩序を示さなかった。通常とは異なる励起の特徴は、この物質がトポロジカル量子スピン液体の候補であることを示唆している。

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