Nature ハイライト
構造生物学:胃の酸性化の秘密
Nature 556, 7700
我々の胃液のpHは、何かを食べているときには約1にまで下がって非常に強い酸性になる。こうした状態は、胃のプロトンポンプ、つまりH+,K+-ATPアーゼによって引き起こされる。pHのこのような差は、細胞膜内外での百万倍のプロトン勾配に相当する。この環境は消化に重要だが、行き過ぎた酸性化は胃潰瘍などの一連の病気を引き起こしかねない。今回、阿部一啓(名古屋大学)たちは、2種の阻害剤と複合体を形成したプロトンポンプの結晶構造を報告している。この研究により、酸性勾配が形成される機構が明らかになり、より良いプロトンポンプ阻害剤を設計するために不可欠な情報が得られた。
2018年4月12日号の Nature ハイライト
材料科学:マンガンで充電池がパワーアップ
海洋科学:小氷期以降の大西洋の鉛直循環の弱化
進化学:脊椎動物のRNAウイルスの進化
構造生物学:細菌の光合成複合体の高分解能構造
構造生物学:胃の酸性化の秘密
量子物理学:ループホールの無いランダム性
植物生物学:乾いた葉からの水分損失を防ぐペプチド
幹細胞:心臓の成長を促す
組織再生:肝臓を再生する細胞は肝臓組織全体に分布している
ウイルス学:ブタでのパンデミックを引き起こしたコウモリ