Nature ハイライト

分子生物学:SAMHD1が炎症から細胞を守る仕組み

Nature 557, 7703

SAMHD1タンパク質は、ウイルス感染から細胞を守り、がんの発生や慢性炎症にも関わっているとされるが、これらの作用の基盤となる機構は解明されていなかった。今回P Paseroたちは、ヒト培養細胞で複製ストレスが認識されると、SAMHD1がMRE11ヌクレアーゼを活性化することを明らかにしている。MRE11は停止した複製フォークにおいて、新生DNA鎖を分解することにより、複製フォークは複製を再開できるようになる。SAMHD1を持たない細胞では、長く停止したままの複製フォークから短い一本鎖DNA断片が遊離し、これが細胞質ゾルへと出てcGAS–STING複合体を活性化する。この複合体が、I型インターフェロンのような炎症促進性遺伝子の発現を亢進させる。

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