Nature ハイライト
分子生物学:SAMHD1が炎症から細胞を守る仕組み
Nature 557, 7703
SAMHD1タンパク質は、ウイルス感染から細胞を守り、がんの発生や慢性炎症にも関わっているとされるが、これらの作用の基盤となる機構は解明されていなかった。今回P Paseroたちは、ヒト培養細胞で複製ストレスが認識されると、SAMHD1がMRE11ヌクレアーゼを活性化することを明らかにしている。MRE11は停止した複製フォークにおいて、新生DNA鎖を分解することにより、複製フォークは複製を再開できるようになる。SAMHD1を持たない細胞では、長く停止したままの複製フォークから短い一本鎖DNA断片が遊離し、これが細胞質ゾルへと出てcGAS–STING複合体を活性化する。この複合体が、I型インターフェロンのような炎症促進性遺伝子の発現を亢進させる。
2018年5月3日号の Nature ハイライト
分子生物学:SAMHD1が炎症から細胞を守る仕組み
構造生物学:ガスダーミンが膜に形成する小孔の構造
天文学:親星の風に吹き飛ばされる大気
素粒子物理学:本格化する反物質の分光測定
超分子化学:柔軟な自己修復結晶
有機金属化学:アニオン性アルミニウムを作る
古生物学:祖先的鳥類の頭蓋が明らかに
微生物学:ミトコンドリアの祖先を再検討する
細胞生物学:胚発生過程でのHOIL-1の役割
構造生物学:HIV-1逆転写酵素の結合機構