Nature ハイライト
素粒子物理学:本格化する反物質の分光測定
Nature 557, 7703
電荷–パリティ対称性や電荷–パリティ–時間対称性などの基本的な対称性の検証においては、水素の反物質である反水素の研究とその特性の精査が最も重要である。2017年、CERNのALPHAコラボレーションは、レーザーに誘起される反水素の1S–2S遷移の実験的観測を報告した。ALPHAコラボレーションの研究者たちは今回、この遷移の1つの超微細構造成分の詳細な特性評価を提示している。彼らは、2か月にわたり合計約1万5000個の反原子を用いてデータ収集を行い、対象となる反水素の遷移で測定された共鳴周波数が、水素において予測される周波数と2兆分の1の精度で一致することを示した。これは、今までで最も精密な反物質の分光学的特性評価であり、反原子の分光測定法が確立されたツールであることを実証している。
2018年5月3日号の Nature ハイライト
分子生物学:SAMHD1が炎症から細胞を守る仕組み
構造生物学:ガスダーミンが膜に形成する小孔の構造
天文学:親星の風に吹き飛ばされる大気
素粒子物理学:本格化する反物質の分光測定
超分子化学:柔軟な自己修復結晶
有機金属化学:アニオン性アルミニウムを作る
古生物学:祖先的鳥類の頭蓋が明らかに
微生物学:ミトコンドリアの祖先を再検討する
細胞生物学:胚発生過程でのHOIL-1の役割
構造生物学:HIV-1逆転写酵素の結合機構