Nature ハイライト
有機金属化学:アニオン性アルミニウムを作る
Nature 557, 7703
アルミニウムの化学は、主に求電子性の+3酸化状態のアルミニウムに基づいている。この状態のアルミニウムは、電子が不足しているため強酸性である。他の酸化状態のアルミニウムも知られているが、寿命が非常に短かったり、不安定であったり、気体状態であったりすることが多い。今回S Aldridgeたちは、アルミニウムが形式的にアニオン性であり求核剤として働くアルミニウム化合物を合成している。この化合物の反応性は、有機合成や有機金属合成におけるアルミニウムの「標準的」な反応性とは全く逆である。さまざまな有機基質や無機基質と反応させた結果から、このアルミニウム化合物を、金属–炭素結合形成反応と金属–金属結合形成反応の両方において求核剤として使用できる可能性が示唆された。
2018年5月3日号の Nature ハイライト
分子生物学:SAMHD1が炎症から細胞を守る仕組み
構造生物学:ガスダーミンが膜に形成する小孔の構造
天文学:親星の風に吹き飛ばされる大気
素粒子物理学:本格化する反物質の分光測定
超分子化学:柔軟な自己修復結晶
有機金属化学:アニオン性アルミニウムを作る
古生物学:祖先的鳥類の頭蓋が明らかに
微生物学:ミトコンドリアの祖先を再検討する
細胞生物学:胚発生過程でのHOIL-1の役割
構造生物学:HIV-1逆転写酵素の結合機構