Nature ハイライト
物性物理学:プラズモンの限界を探る
Nature 557, 7706
グラフェンに赤外光子を照射すると、グラフェン中の電子と赤外光子が相互作用して、プラズモンポラリトンと呼ばれるハイブリッド励起を形成できる。プラズモンは、マイクロメートルスケールの赤外光子のエネルギーをナノスケールで閉じ込め、さまざまなフォトニックデバイスに応用できる可能性がある。しかし、封止層の間にグラフェン試料を置くと、そのために生じる損失によってプラズモンの輸送が制限されることが多い。今回D Basovたちは、新たに設計した極低温近接場赤外顕微鏡装置の中でグラフェンを冷却することによって、封止層に挟まれたグラフェンのプラズモンが10 μm以上伝搬する可能性があることを示し、グラフェン中のプラズモン減衰と電子–フォノン相互作用に基本的限界を課している。この限界は、ねじれた2層グラフェンにおいて最近発見された非従来型超伝導などの他の多体現象に関与している可能性がある。
2018年5月24日号の Nature ハイライト
微生物学:細菌タンパク質の機能予測
天体物理学:プラズマレンズで見たパルサー
物性物理学:プラズモンの限界を探る
経済学:野心的な気候の目標が持つ経済的な魅力
人類学:ヒトの脳サイズ進化の駆動要因
神経変性:α-シヌクレインの凝集と闘う
発生生物学:肢発生におけるR-spondin 2の独立した役割
腫瘍免疫学:バイスタンダーT細胞の識別法
免疫学:骨髄増殖における腸の微生物の役割