Nature ハイライト
経済学:野心的な気候の目標が持つ経済的な魅力
Nature 557, 7706
パリ協定では、2100年までに全球平均の地表温度の変化を産業革命前の温度より1.5°C以上高くならないよう制限する、という野心的な目標が提案された。この目標を達成するには、巨大な投資が必要になり、何らかの地球工学を用いなければ実現性が疑問視されている。従って、この目標を追求するかしないかの決定は、もしあるとすれば、どの程度の経済的利益が生まれると思われるかを解明して指針とするべきである。今回M Burkeたちは、より一般的な2.0°Cの目標ではなく、1.5°Cの目標を達成することで、数兆ドルの経済的損害を免れることができ、その最大の恩恵は貧しい国に生じることを示している。この手法は、不確かさが大きいという問題があり、極端な事象や経済成長率の急変などの、交絡している可能性があるいくつかの要因を扱っていない。しかし、今回の論文は、1.5°Cを超える温暖化を許せば、経済的損害が増大する大きな可能性を浮き彫りにしている。
2018年5月24日号の Nature ハイライト
微生物学:細菌タンパク質の機能予測
天体物理学:プラズマレンズで見たパルサー
物性物理学:プラズモンの限界を探る
経済学:野心的な気候の目標が持つ経済的な魅力
人類学:ヒトの脳サイズ進化の駆動要因
神経変性:α-シヌクレインの凝集と闘う
発生生物学:肢発生におけるR-spondin 2の独立した役割
腫瘍免疫学:バイスタンダーT細胞の識別法
免疫学:骨髄増殖における腸の微生物の役割