Nature ハイライト
量子ナノ科学:直立した色素分子
Nature 558, 7711
走査型プローブ顕微鏡を使うと、ナノスケールの物体を画像化し特性評価できると同時に、その操作や励起も可能になる。こうした能力を組み合わせることによって、さまざまなナノスケールデバイスを作製できるようになっているが、この方法の重大な欠点は、二次元の制約から逃れられないように思われることである。S Tautzたちは今回、走査型プローブ顕微鏡の探針を使った注意深い操作によって、大きな平面分子を持ち上げて、2つの金属原子の台座の上に直立させて配置できることを示している。また、この非典型的な意外に安定した直立配向において、分子がコヒーレントな単一の電界放出電子源として機能することも示している。今回の知見は、他の分子にも準安定な直立した配置をとらせることができ、表面の機能性ナノ構造の設計に第三の次元を実際に利用できることを示唆している。
2018年6月28日号の Nature ハイライト
医学研究:PIK3CAの阻害によりPROSの症状が改善する
構造生物学:Gタンパク質、リガンドと受容体が作る複合体の構造
天文学:エンセラダスの氷殻下の海から放出される大きな分子
量子ナノ科学:直立した色素分子
化学:遠隔C–Hのエナンチオ選択的官能基化
惑星科学:火星の初期の急速な地殻形成
神経科学:逃げるかどうかを決めるのは
微生物学:微生物に見つかった新しいロドプシン
医学研究:膵臓がんにおける組織消耗を理解する
生化学:viperinは新しい塩基を作り出す
分子生物学:サイレンシングには協働が不可欠