Nature ハイライト
物性物理学:スピンの長距離輸送にスピンホール効果が役立つ
Nature 561, 7722
スピントロニクスは、電子の電荷の代わりに電子のスピンを利用するコンピューティング技術の開発を目指している。そのためには、スピンを輸送し操作する効率の良い方法が不可欠であり、電子スピンが自発的に整列するさまざまな強磁性材料において、調節可能なスピン輸送がすでに実証されている。しかし、電子スピンが自発的に反対方向を向いて整列する反強磁性体材料でできたデバイスは、強磁性体材料を用いたデバイスよりも安定で、より高い周波数で作動する可能性があるため、利点がいくつかある。今回M Kläuiたちは、絶縁体であるとともに反強磁性秩序を持つありふれた酸化鉄材料であるヘマタイトの単結晶を通る、電気的に調節可能な長距離スピン輸送を実証している。今回の実証結果を利用すれば、反強磁性絶縁体に基づくスピン論理デバイスを開発できる可能性がある。
2018年9月13日号の Nature ハイライト
生理学:RANKLで作ったり壊したり
がん:ヒト膵臓がんの進化の流れ
素粒子物理学:進歩する反物質研究
物性物理学:スピンの長距離輸送にスピンホール効果が役立つ
材料科学:三次元印刷による階層的構造体の形成
環境科学:海水準上昇が沿岸湿地に及ぼす影響
幹細胞:皮膚再生のための再プログラム化
植物科学:わずかな違いがシグナル伝達の大きな違いにつながる
免疫学:STINGとPINK1は協働して体温を上昇させる
分子生物学:翻訳と同時に起こる複合体組み立て