Nature ハイライト
環境科学:海水準上昇が沿岸湿地に及ぼす影響
Nature 561, 7722
沿岸湿地は、天然の海岸保護や炭素隔離などの多くの重要な生態系サービスを提供する。将来の海水準上昇に対する沿岸湿地の応答はまだよく分かっておらず、多くの研究では、湿地が広範囲に失われると示唆されている。今回、全球のモデル化手法によって、21世紀における海水準上昇と人為的な沿岸域の占有への応答で生じる沿岸湿地の面積の変化が評価され、湿地は減少するのではなく、現在より最大60%増大する可能性があることが見いだされた。シミュレーション結果は、そのためには、沿岸湿地の37%以上に十分な堆積空間、つまり細粒堆積物が堆積し湿地の植生が定着できる鉛直方向と水平方向の空間があり、堆積物の供給が現在の水準で維持される必要があることを示唆している。著者たちは、適切な沿岸域管理は、十分な堆積空間の利用可能性を高めることによって、湿地の回復力を支持できる可能性があると提案している。
2018年9月13日号の Nature ハイライト
生理学:RANKLで作ったり壊したり
がん:ヒト膵臓がんの進化の流れ
素粒子物理学:進歩する反物質研究
物性物理学:スピンの長距離輸送にスピンホール効果が役立つ
材料科学:三次元印刷による階層的構造体の形成
環境科学:海水準上昇が沿岸湿地に及ぼす影響
幹細胞:皮膚再生のための再プログラム化
植物科学:わずかな違いがシグナル伝達の大きな違いにつながる
免疫学:STINGとPINK1は協働して体温を上昇させる
分子生物学:翻訳と同時に起こる複合体組み立て