Nature ハイライト
植物科学:わずかな違いがシグナル伝達の大きな違いにつながる
Nature 561, 7722
植物では、受容体様キナーゼは共受容体タンパク質と複合体を形成して細胞外リガンドに応答し、免疫から発生に至るまで、さまざまな過程に影響を与えている。SERKファミリーのBAK1のように、特定の共受容体と特定の受容体様キナーゼの特異的な複合体形成が、生理学的な結果を決定する。C Zipfelたちは今回、BAK1が、そのパートナーとなる異なる受容体様キナーゼの活性化をどのように制御しているのかを明らかにすべく取り組んだ。彼らは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において免疫応答を引き起こすには、BAK1のC末端にある保存された5つのアミノ酸残基がリン酸化される必要があることを示し、リン酸化コードの役割を見いだした。しかし、これらの残基は植物の生長に関わるBAK1を介したブラシノステロイドのシグナル伝達の活性化には関与していなかった。さらに彼らは、BAK1だけでなく、おそらく全てのSERKタンパク質と、ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーの全ての受容体様キナーゼのおよそ80%で機能に必要な、保存されたリン酸化されたチロシン残基を報告している。
2018年9月13日号の Nature ハイライト
生理学:RANKLで作ったり壊したり
がん:ヒト膵臓がんの進化の流れ
素粒子物理学:進歩する反物質研究
物性物理学:スピンの長距離輸送にスピンホール効果が役立つ
材料科学:三次元印刷による階層的構造体の形成
環境科学:海水準上昇が沿岸湿地に及ぼす影響
幹細胞:皮膚再生のための再プログラム化
植物科学:わずかな違いがシグナル伝達の大きな違いにつながる
免疫学:STINGとPINK1は協働して体温を上昇させる
分子生物学:翻訳と同時に起こる複合体組み立て