Nature ハイライト
分子生物学:翻訳と同時に起こる複合体組み立て
Nature 561, 7722
新たに作られたばかりのタンパク質は、リボソームから離れるとすぐに集合してヘテロオリゴマー複合体を形成することが多いが、部分的に折りたたまれて疎水性表面が露出しているサブユニットが凝集したり、品質管理機構によって分解されたりするのを防ぐ仕組みは、謎のままだった。今回B Bukauたちは、リボソームのプロファイリングを行って、酵母細胞でこういった複合体が組み立てられる瞬間の新生ペプチド鎖の長さを測定し、調べた12の例では翻訳と同時に組み立てが行われるという機構が主流であることを見いだした。著者たちはさらに、これが一方向だけに進む過程であり、つまりある1つのサブユニットが完全に合成されると、それがシャペロンタンパク質の助けを借りて複合体組み立ての足場として機能するようになって、凝集しやすかったり、分解されやすかったりするサブユニットを保護することを明らかにした。
2018年9月13日号の Nature ハイライト
生理学:RANKLで作ったり壊したり
がん:ヒト膵臓がんの進化の流れ
素粒子物理学:進歩する反物質研究
物性物理学:スピンの長距離輸送にスピンホール効果が役立つ
材料科学:三次元印刷による階層的構造体の形成
環境科学:海水準上昇が沿岸湿地に及ぼす影響
幹細胞:皮膚再生のための再プログラム化
植物科学:わずかな違いがシグナル伝達の大きな違いにつながる
免疫学:STINGとPINK1は協働して体温を上昇させる
分子生物学:翻訳と同時に起こる複合体組み立て