Nature ハイライト
原子物理学:放射性分子を上手に使う分光法
Nature 581, 7809
重い放射性分子の精密分光は、放射化学や天体物理学などの分野の現象に関する我々の理解を深めるのに役立つ。さらに、こうした重い分子化合物は分子間相互作用が強いために核が変形していると予測されている。変形核は、基礎物理学定数の精密測定において興味深い。しかし、放射性分子の研究は、実験が非常に困難であるために妨げられている。それは、こうした分子は人工的に生成する必要があるが、生成率は極めて低いことが多く、寿命は非常に短い可能性があるからである。今回R Garcia Ruizたちは、CERNのISOLDE施設で行った一フッ化ラジウム(RaF)のレーザー分光研究について報告している。得られた測定結果からは、こうした放射性分子のエネルギー準位構造がレーザー冷却に適しており、将来の高精度研究に適した候補になることが明らかになった。
2020年5月28日号の Nature ハイライト
天文学:近傍宇宙のバリオン量の測定
原子物理学:放射性分子を上手に使う分光法
材料科学:ナトリウム系のプラズモニクス
ナノスケール材料:興味深い高指数ファセットの成長
材料科学:効率がほぼ100%の光触媒的水分解
古生物学:ゴンドワナテリウム類の初めての骨格化石
神経科学:患者の鼻で意識の有無を嗅ぎ分ける
疫学:軽症SARS-CoV-2感染症でのウイルス排出
微生物学:腸ウイロームの構築
免疫学:腸において胆汁酸が仲介する制御性T細胞の分化
分子生物学:ヘテロマー複合体の進化