Nature ハイライト
材料科学:効率がほぼ100%の光触媒的水分解
Nature 581, 7809
太陽光を用いる水の分解は、再生可能な水素の製造に魅力的であるが、効率的に行うことが難しい。今回、堂免一成(信州大学ほか)たちは、光によって生じた電荷を効率よく移動させた後、こうした電荷を用いて水を水素と酸素に分解できるよう光触媒を設計できることを示している。重要なのは、光触媒の別個の表面上で水素発生反応と酸素発生反応を分けて進めることと高活性触媒種を使用することである。この手法によって、電荷再結合に起因する損失が抑制され、ほぼ100%の量子効率での水分解が実現された。報告された光触媒は紫外光を用いているが、今回の設計原理は、より豊富な可視光を使用できる材料にも適用可能なはずであり、太陽光と水から水素を製造する実用的なプロセスの基礎となる可能性がある。
2020年5月28日号の Nature ハイライト
天文学:近傍宇宙のバリオン量の測定
原子物理学:放射性分子を上手に使う分光法
材料科学:ナトリウム系のプラズモニクス
ナノスケール材料:興味深い高指数ファセットの成長
材料科学:効率がほぼ100%の光触媒的水分解
古生物学:ゴンドワナテリウム類の初めての骨格化石
神経科学:患者の鼻で意識の有無を嗅ぎ分ける
疫学:軽症SARS-CoV-2感染症でのウイルス排出
微生物学:腸ウイロームの構築
免疫学:腸において胆汁酸が仲介する制御性T細胞の分化
分子生物学:ヘテロマー複合体の進化