Nature ハイライト
微生物学:腸ウイロームの構築
Nature 581, 7809
出生時の新生児の腸にはウイルスが存在しないと考えられているが、細菌の場合と同様に、ウイルスは出生後間もなく速やかに定着する。今回F Bushmanたちは、出生時から4か月にわたって新生児の腸ウイロームの構築を追跡し、ウイルスの定着が段階的に起こることを明らかにしている。彼らのデータは、生後1か月は、先駆細菌(腸に最初に定着する細菌類)によるプロファージ誘発がウイルス集団の主な供給源だが、その後次第にヒト細胞で増殖するウイルスの比率が高まっていくという考えを支持している。著者たちは、ウイロームの構築に影響する可能性のあるさまざまな因子を調べ、ヒト細胞に感染するウイルス量と母乳育児との間に負の相関があることを報告している。この結果は、一生で最も脆弱な時期の1つである新生児期に、完全母乳育児や部分母乳育児が、ウイルス感染に対する防御になっていることを示唆している。
2020年5月28日号の Nature ハイライト
天文学:近傍宇宙のバリオン量の測定
原子物理学:放射性分子を上手に使う分光法
材料科学:ナトリウム系のプラズモニクス
ナノスケール材料:興味深い高指数ファセットの成長
材料科学:効率がほぼ100%の光触媒的水分解
古生物学:ゴンドワナテリウム類の初めての骨格化石
神経科学:患者の鼻で意識の有無を嗅ぎ分ける
疫学:軽症SARS-CoV-2感染症でのウイルス排出
微生物学:腸ウイロームの構築
免疫学:腸において胆汁酸が仲介する制御性T細胞の分化
分子生物学:ヘテロマー複合体の進化