Nature ハイライト
創薬:多剤耐性菌に二重の打撃を与える
Nature 589, 7843
必須酵素IspHは、細菌とアピコンプレックス門寄生虫におけるイソプレノイド生合成の最終段階を触媒しており、新しい抗微生物薬開発の標的候補であるが、IspHを標的とする化合物は細菌細胞内へあまり透過しないため、これまでの取り組みは制限されてきた。F Dotiwalaたちは今回、IspHを直接標的としながら、同時に細胞傷害性γδT細胞の局所的な増殖を刺激して病原体の排除を高める、新しいクラスの化合物を開発したことを報告している。このリード化合物はナノモル濃度で活性を示し、in vivoにおいてさまざまな多剤耐性菌に対して、既存の抗生物質よりも有効であった。この新しいクラスの化合物が持つ二重の作用機構は、耐性に対する選択の低下にも関連していると考えられ、これについては今後の研究で厳密に検討されるだろう。
2021年1月28日号の Nature ハイライト
実験物理学:ミューオンヘリウムにおける精密な核測定
物性物理学:グラフェンにおける相関駆動トポロジカル相
化学:光を用いる炭素と水素の標識化
気候科学:古気候の証拠の解釈の見直しによって示された完新世の長期的な温暖化
生態学:外洋性サメ・エイ類個体群の世界的縮小
植物科学:発生から派生した共生
血液:辛い食物は造血幹細胞の血液への動員に役立つ
創薬:多剤耐性菌に二重の打撃を与える
コロナウイルス:SARS-CoV-2を感染させたK18-hACE2マウスはCOVID-19のさまざまな症状を発症する
生物工学:早老症の塩基編集による治療
構造生物学:アドヒージョン受容体の構造