Nature ハイライト
植物科学:発生から派生した共生
Nature 589, 7843
マメ科植物は、窒素固定を行う根粒菌との共生関係を築けるという点で、植物の中でも独特な存在である。E Wangたちは今回、マメ科植物と根粒菌の細胞内共生関係の進化に中心的な役割を担ったであろう分子事象を報告している。マメ科植物であるタルウマゴヤシ(Medicago truncatula)の根の皮層細胞では、植物の発生に機能することが知られているSHOOTROOTタンパク質とSCARECROWタンパク質からなる調節モジュールが、共生という状況下で新しい役割を果たしていることが分かった。具体的には、マメ科植物ではこのモジュールが根粒菌のシグナルに応答し、皮層細胞の分裂を開始させて根粒形成と根粒菌の受容を可能にするが、マメ科植物でないシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)では、これらは起こらない。
2021年1月28日号の Nature ハイライト
実験物理学:ミューオンヘリウムにおける精密な核測定
物性物理学:グラフェンにおける相関駆動トポロジカル相
化学:光を用いる炭素と水素の標識化
気候科学:古気候の証拠の解釈の見直しによって示された完新世の長期的な温暖化
生態学:外洋性サメ・エイ類個体群の世界的縮小
植物科学:発生から派生した共生
血液:辛い食物は造血幹細胞の血液への動員に役立つ
創薬:多剤耐性菌に二重の打撃を与える
コロナウイルス:SARS-CoV-2を感染させたK18-hACE2マウスはCOVID-19のさまざまな症状を発症する
生物工学:早老症の塩基編集による治療
構造生物学:アドヒージョン受容体の構造