Nature ハイライト
Cover Story:小型光源:より小さな自由電子レーザーへの道を開くプラズマを用いた加速
Nature 595, 7868
X線自由電子レーザー(FEL)は、標準的な卓上型レーザーでは手が届かない周波数の高強度コヒーレント放射ビームを生成し、構造生物学や構造化学などの分野に不可欠である。しかし、この装置は、費用のかかる巨大な加速器によって生成される高強度の高エネルギー電子ビームを必要とするため、専用の施設でしか利用できない。今回W Wangたちは、設置面積を劇的に縮小した小型FELの作製へ一歩踏み出している。これによって、X線FELがより利用しやすくなる可能性がある。著者たちは、プラズマ波を介して電子を加速するレーザー航跡場加速器によって得られる電子ビームを用いて、コヒーレント放射の生成に成功し、放射光の強度を約100倍に増大させた。これは、電子がレーザー光を生成するのに適した条件が、現行のFELに用いられている3000 m程度より数桁短い、長さがわずか6 mmのガスジェットの端で達成されたことを意味する。
2021年7月22日号の Nature ハイライト
惑星科学:金星の夜側の大気循環が明らかに
ナノスケール材料:アクシオン絶縁体における磁気電気結合
物性物理学:モアレグラフェンにおけるスピン三重項超伝導
生体力学:流れに従って生きる
神経科学:覚醒状態が感覚処理を変化させる
微生物学:微生物代謝物の酢酸は腸のIgAのトラフィックを調節する
コロナウイルス:脳におけるSARS-CoV-2感染のマッピング
コロナウイルス:SARS-CoV-2スパイク変異株に対するBNT162b2誘導性の抗体およびT細胞応答
免疫学:腫瘍の浸潤とプログレッションにおける組織常在型マクロファージの役割
細胞生物学:凝集体をしっかりと捕まえる
構造生物学:GPCRシグナル伝達がキナーゼにより調節される仕組み