Nature ハイライト
Cover Story:電気を感じる仕組み:サメ類とエイ類における感覚識別の分子基盤
Nature 558, 7708
エイ類とサメ類には、微弱な電場を感知してその情報を中枢神経系に伝える、特殊化した電気感覚器官がある。今回D Juliusたちは、こうした器官の内部の感覚細胞を分析し、エイ類とサメ類のどちらも、よく似た低閾値電位依存性カルシウムチャネルを用いて細胞過程を開始させるが、その活動の調節に用いているカリウムチャネルは異なっていることを示している。著者たちは、クサリトラザメ(Scyliorhinus retifer)のカリウムチャネルは、電気刺激に応答する大きな膜電位スパイクの反復を補助しているが、ガンギエイの一種Leucoraja erinacea(表紙画像)のカリウムチャネルは、より小さく調節可能な振動を生み出すことを見いだした。彼らは、その結果サメ類は、電気感覚能力を主に捕食の補助として用いているのに対して、エイ類は、互いのコミュニケーションにも利用していると示唆している。
2018年6月7日号の Nature ハイライト
工学:アナログメモリーを用いたニューラルネットワーク訓練の高速化
古生態学:塩水を好んでいた初期の四肢類
神経科学:視覚野の運動方向選択性
核物理学:大きな課題を1つ乗り越えた量子色力学
物性物理学:電流を曲げると現れる熱電効果
気候変動:進路の途中で停滞する熱帯低気圧
哺乳類進化学:最初期の哺乳類の系統発生を明らかにする
群集生態学:都市化が体サイズに及ぼす影響
発生生物学:ヒトの胚性幹細胞から形成体を誘導
免疫学:Hippoは代謝と免疫機能を連動させる