Nature ハイライト

古生態学:塩水を好んでいた初期の四肢類

Nature 558, 7708

デボン紀(約3億6500万年前)の海水と淡水とが混ざり合う三角州環境で、辺りを探索する2頭の初期四肢類アカンソステガ(想像図)。
デボン紀(約3億6500万年前)の海水と淡水とが混ざり合う三角州環境で、辺りを探索する2頭の初期四肢類アカンソステガ(想像図)。 | 拡大する

Credit: Mazan

イクチオステガ(Ichthyostega)やアカンソステガ(Acanthostega)など、最初期の四肢類(肢が4本の脊椎動物)の中には、機能性の鰓といった水中で生息していたことを示唆する適応を有するものもいた。それがどのような環境の水であったかはまだ明らかになっていないが、現生の両生類のほぼ全てがそうであるように、最初期の四肢類も淡水に生息していたとこれまで考えられていた。しかし、現在の状況が必ずしも過去へのカギになるとは限らないため、最初期の四肢類が海域や河口などの汽水域に生息していた可能性もある。今回J Goedertたちは、デボン紀には共に赤道付近の熱帯環境にあったグリーンランドおよび中国に由来する初期四肢類の化石標本に注目し、この課題に取り組んだ。彼らは、続成作用の影響の考慮を試みる新しい方法と、適切な対照群を用いることで、炭素と酸素と硫黄の同位体分別から、これらの2地域に由来する初期四肢類が汽水域に生息しており、幅広い塩分環境に対応できた可能性を明らかにしている。

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