Nature ハイライト
古生態学:塩水を好んでいた初期の四肢類
Nature 558, 7708
イクチオステガ(Ichthyostega)やアカンソステガ(Acanthostega)など、最初期の四肢類(肢が4本の脊椎動物)の中には、機能性の鰓といった水中で生息していたことを示唆する適応を有するものもいた。それがどのような環境の水であったかはまだ明らかになっていないが、現生の両生類のほぼ全てがそうであるように、最初期の四肢類も淡水に生息していたとこれまで考えられていた。しかし、現在の状況が必ずしも過去へのカギになるとは限らないため、最初期の四肢類が海域や河口などの汽水域に生息していた可能性もある。今回J Goedertたちは、デボン紀には共に赤道付近の熱帯環境にあったグリーンランドおよび中国に由来する初期四肢類の化石標本に注目し、この課題に取り組んだ。彼らは、続成作用の影響の考慮を試みる新しい方法と、適切な対照群を用いることで、炭素と酸素と硫黄の同位体分別から、これらの2地域に由来する初期四肢類が汽水域に生息しており、幅広い塩分環境に対応できた可能性を明らかにしている。
2018年6月7日号の Nature ハイライト
工学:アナログメモリーを用いたニューラルネットワーク訓練の高速化
古生態学:塩水を好んでいた初期の四肢類
神経科学:視覚野の運動方向選択性
核物理学:大きな課題を1つ乗り越えた量子色力学
物性物理学:電流を曲げると現れる熱電効果
気候変動:進路の途中で停滞する熱帯低気圧
哺乳類進化学:最初期の哺乳類の系統発生を明らかにする
群集生態学:都市化が体サイズに及ぼす影響
発生生物学:ヒトの胚性幹細胞から形成体を誘導
免疫学:Hippoは代謝と免疫機能を連動させる