Nature 特別翻訳記事

オンライン特集:東日本大震災

2011年3月、マグニチュード9.0の大地震と大津波、およびそれに伴う史上最悪の原発事故が発生した。原発事故の被災者の現状、日本政府の対応、また放射能の影響に関し、Nature が提供する最新情報をまとめた。

日本語のコンテンツ

Editorials

苦悩の心中

Troubling thoughts

福島県の避難者に精神面の治療を長期的に施すことは、今後の災害の生存者にとっても助けとなるだろう。

Nature 493, 271 (号)

おぼつかない再出発

Shaky restart

国民が納得する原子力政策を示すため、日本政府は福島原発事故からさらに教訓を学ぶべきである。

Nature 491, 301-302 (号)

福島第一原発事故:科学者の声を政府に

Critical Mass

日本政府に独立の立場から助言をする科学の声がないことは、以前から問題になっていた。現在、日本の政治的リーダーたちが、福島第一原発事故に関する明確な答えを求めて悪戦苦闘しているのも、その一例にすぎない。

Nature 480, 291 (号)

Column

福島原発事故をめぐる不透明な問題は続く

Fukushima's uncertainty problem

被ばくを懸念する読者の疑問に対し科学は明確な答えを与えていないと Nature の記者 Geoff Brumfiel が解説する。

Nature (オンライン掲載)

NEWS IN FOCUS

地震の脅威が原子炉を襲う

Quake fears rise at Japan’s reactors

断層のため原子炉を再稼動するには危険性が高すぎると原子力規制委員会委員が報告する。

Nature 494, 14-15 (号)

放射性物質はどのくらい放出された?

Fallout forensics hike radiation toll

福島第一原発から放出された放射性物質は、政府の見積もりよりはるかに多い可能性が。

  1. ノルウェーの研究者らが地球規模の観測データに基づいて福島第一原子力発電所事故による放射性物質の放出の規模を推定し、その結果をAtmospheric Chemistry and Physics に発表した。
  2. 今回の原発事故による放射性物質の放出量は、これまでの推定放出量よりはるかに多かった。
  3. ごく早い時点にキセノン133の大量放出が起きたことは、津波が到達する前から原子炉に問題が生じていたことを示唆している。
  4. セシウム137の総放出量は3.5×1016ベクレルだったと推定され、これは日本政府が6月に発表した推定量の2倍以上である。
  5. 3月20日に放水による冷却が始まるまで、4号機の使用済み核燃料プールは、大量の放射性物質を放出していた。日本政府と研究者らはこれまで、4号機の核燃料プールは放射性物質の放出源として重要ではなかったと主張してきた。
  6. 東京に関しては、事故当初に放出された莫大な量の放射性物質が上空を通過していったとき、雨が降らなかったおかげで、大量の放射性降下物にさらされずにすんだようだ。

Nature 478, 435-436 (号)

Comment

福島第一原発を国有化せよ

Nuclear energy: Nationalize the Fukushima Daiichi atomic plant

平智之と鳩山由紀夫は、福島第一原発事故の真相を科学者たちが究明するためには、これを政府の管理下に置くしかないと主張する。

Nature 480, 313-314 (号)

地震学、再建への道

Rebuilding seismology

東日本大震災から約2か月半。5人の日本人地震学者が、今回の地震と津波から得た教訓について考察する。

鷺谷威:すべてのデータを考え合わせる | 金森博雄:想定外の事態に備える | 八木勇治:海底観察を強化 | 山田真澄:警報システムのさらなる改良 | Jim Mori:より大きな揺れに耐えられるビルの設計

Nature 473, 146-148 (号)

日本の地震学、改革の時

Shake-up time for Japanese seismology

東京大学のロバート・ゲラー教授は「日本政府は、欠陥手法を用いた確率論的地震動予測も、仮想にすぎない東海地震に基づく不毛な短期的地震予知も、即刻やめるべきだ」と主張する。

Nature 472, 407-409 (号)

Interview

余震はいつ止むのか?

Ask the Experts: When Will Japan's Aftershocks Stop?

日本の地震活動をどう見ればよいか、不透明さが増している4月7日にはマグニチュード7.1の大きな余震が発生した余震はいつ止むのか、そして将来は……
Scientific American がカリフォルニア州工科大学の地震学者ヒートンに聞いた

Scientific American ()

News

風が運び去った放射性降下物

Much of Fukushima’s fallout was gone with the wind

原発事故によるがんリスクの上昇は、数か所の放射線ホットスポットに集中している。

Nature (オンライン掲載)

福島:放射能の恐怖の影響

Fukushima: Fallout of fear

福島の原発事故後、住民は放射能による身体的な影響からは守られているものの、精神面への影響は深刻だ。

Nature 493, 290-293 (号)

いまだに続く福島の放射能海洋汚染

Ocean still suffering from Fukushima fallout

汚染水の流出と汚染された堆積物の影響で、海洋中の放射能レベルは依然高いままだ。

Nature (オンライン掲載)

海洋生物にしのび寄る放射能汚染

損傷した福島第一原子力発電所から海への放射性物質の流出が続いている。生態系への影響を見きわめるには、できるだけ早い時期に広い範囲で海洋調査を実施する必要があるだろう。

Nature 472, 145-146 (号)

低線量被曝の危険性に関する知識はまだ不十分

低線量被曝が健康に及ぼす長期的危険性については、いまだにほとんどわかっていない。合理的な判断の根拠となる知識を得るには、低線量被曝に関する集団研究と発がん機構に基礎研究を組み合わせていく必要がある。

Nature (オンライン掲載)

地震対策の再考が必要

日本の地震活日本が世界に誇る、地震予知システム、緊急地震速報、津波防波堤。だが、いずれも3月11日の東日本大震災には対応できなかった。

Nature 471, 556-557 (号)

チェルノブイリの遺産

チェルノブイリでの深刻な原子力災害から25年が経つが、汚染除去、監視作業はいまだに続き、健康への影響の研究は進んでいない。

Nature 471, 562-565 (号)

予測できない放射線リスク

科学者たちは、福島県で発生した低線量被曝の長期的影響を予測しようと努めている。

Nature 471, 419 (号)

日本の科学に激震

日本の研究者たちは、地震で破損した装置や寸断されたインフラと懸命に戦っている。

Nature 471, 420 (号)

予想外の場所で発生した巨大地震

ほとんどの専門家は、日本の三陸沖の地震帯がこれほど大きな地震を引き起こすとは思っていなかった。

Nature 471, 274 (号)

おすすめのコンテンツ

放射性セシウムを選択的に除去する強力な吸着剤としてのセルロースナノファイバーを骨格にしたプルシアンブルーナノ粒子

Cellulose nanofiber backboned Prussian blue nanoparticles as powerful adsorbents for the selective elimination of radioactive cesium

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島の若年層の甲状腺がんではBRAFV600E変異が高頻度である:チェルノブイリとは異なる発がんプロファイル

BRAFV600E mutation is highly prevalent in thyroid carcinomas in the young population in Fukushima: a different oncogenic profile from Chernobyl

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島第一原子力発電所の周辺に自生するモミの形態異常

Morphological defects in native Japanese fir trees around the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant

Scientific Reports (オンライン掲載)

1970年頃に収集された日本の中央部から東部の土壌試料におけるプルトニウム濃度と同位体比

Plutonium concentration and isotopic ratio in soil samples from central-eastern Japan collected around the 1970s

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島第一原子力発電所の事故から18カ月後のカエルの放射性セシウム汚染の調査

Assessment of radiocesium contamination in frogs 18 months after the Fukushima Daiichi nuclear disaster

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島第一原子力発電所の事故がオオタカの繁殖に与えた影響

Effects of the Fukushima Daiichi nuclear accident on goshawk reproduction

Scientific Reports (オンライン掲載)

稼働中の大気汚染測定局のテープろ紙の分析による福島原発事故直後の1時間ごとの大気中放射性核種の初めての復元

First retrieval of hourly atmospheric radionuclides just after the Fukushima accident by analyzing filter-tapes of operational air pollution monitoring stations

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島第一原子力発電所の災害による野生ニホンザルの血球数減少

Low blood cell counts in wild Japanese monkeys after the Fukushima Daiichi nuclear disaster

Scientific Reports (オンライン掲載)

摂取した放射性物質がヤマトシジミに与える生物学的影響

The biological impacts of ingested radioactive materials on the pale grass blue butterfly

Scientific Reports (オンライン掲載)

北太平洋黒潮続流を越えた福島原発事故由来放射性セシウムの南方への広がり

Southward spreading of the Fukushima-derived radiocesium across the Kuroshio Extension in the North Pacific

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島第一原子力発電所の影響を受けた最大河川流域から海洋への粒子態放射性セシウムの初期フラックス

Initial flux of sediment-associated radiocesium to the ocean from the largest river impacted by Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島原子力発電所事故後の放射性セシウムが雄ウシ精巣に与える効果

Effects of radioactive caesium on bull testes after the Fukushima nuclear plant accident

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島原子力発電所事故の初期段階に放出されたセシウムを含む球状粒子

Emission of spherical cesium-bearing particles from an early stage of the Fukushima nuclear accident

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島原子力発電所事故直後に福島県で採取された環境試料の放射能濃度

Activity concentrations of environmental samples collected in Fukushima Prefecture immediately after the Fukushima nuclear accident

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島を含む東日本の淡水魚の放射性セシウム汚染の概況

Overview of active cesium contamination of freshwater fish in Fukushima and Eastern Japan

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島原子力発電所事故の影響を受けた森林表土における潜在的に移動しやすい放射性セシウムの保持

Overview of active cesium contamination of freshwater fish in Fukushima and Eastern Japan

Scientific Reports (オンライン掲載)

高密度GPSアレイによる2011年東北巨大逆断層地震後の地球自由振動の観測

Observation of Earth's free oscillation by dense GPS array: After the 2011 Tohoku megathrust earthquake

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島第一原子力発電所周辺の植物中トリチウム濃度

Concentration of 3H in plants around Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Station

Scientific Reports (オンライン掲載)

巨大地震後の平衡感覚機能の異常

Disturbances in equilibrium function after major earthquake

Scientific Reports (オンライン掲載)

被災地福島で遺棄された犬に見られる継続的な心的ストレス状態

Continued Distress among Abandoned Dogs in Fukushima

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島原子力発電所事故による避難者の甲状腺線量

Thyroid doses for evacuees from the Fukushima nuclear accident

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島県の森林における放射能汚染された物質の総量

The total amounts of radioactively contaminated materials in forests in Fukushima, Japan

Scientific Reports (オンライン掲載)

同位体比により明らかになった福島第一原子力発電所事故による環境中へのプルトニウム放出

Isotopic evidence of plutonium release into the environment from the Fukushima DNPP accident

Scientific Reports (オンライン掲載)

2011-東北地方太平洋沖地震による深海環境の擾乱

Disturbance of deep-sea environments induced by the M9.0 Tohoku Earthquake

Scientific Reports (オンライン掲載)

福島原発事故によって人為的に高められた空間線量率の経時変動

Disturbance of deep-sea environments induced by the M9.0 Tohoku Earthquake

Scientific Reports (オンライン掲載)

英語のコンテンツ

Video

福島の1年

福島の1年

A year at Fukushima

1年前、福島第一原子力発電所の3基の原子炉がメルトダウンした。Nature Videoでは、原子炉の安定化、そしてさらなる汚染の拡散を防止するために行われている懸命の作業について紹介する。

Nature Video ()

福島原発事故から半年

Fukushima nuclear crisis, six months later

福島第一原子力発電所の原子炉3機におけるメルトダウンを発端とした原発事故により、日本では現在も危機的状況が続いている。原子炉の安定化作業、また日本および世界中の原子力発電に危機を与えたこの事故の影響に関し、Nature Video が最新情報をお届けする。

Nature Video ()

福島第一原発事故の概要

Fukushima's nuclear emergency

The partial meltdown of nuclear fuel at the Fukushima nuclear power plant has created a crisis in Japan. Nature Video provides a brief summary of events at the plant, and what lies ahead for the damaged reactors.

Nature Video (21 April 2011)

Podcast

特別版:福島第一原子力発電所

Podcast Extra: Fukushima

Japan is struggling with a nuclear emergency following the earthquake and tsunami on 11 March. In this podcast, reporter Geoff Brumfiel brings us up-to-date on the situation at the Fukushima power plant.

Nature Podcast ()

Editorials

過去の教訓

Lessons from the past

低レベル放射線被爆の長期的影響について、チェルノブイリ原発事故の追跡研究から学べるものは多く、資金援助が必要だ。

Nature 471, 547 ()

復興への遠い道のり

The long road back

今のところ、日本の科学者にとっては、研究基盤の再建よりも優先させるべき事柄がある。しかし、実際に再建が始まるときには、海外の研究コミュニティーからの支援が必要になるだろう。

Nature 471, 409 ()

SPOONFUL OF MEDICINE

高まる急性放射線症候群に対する薬物の必要性

Nuclear leak reinforces need for drugs to combat radiation sometimes administer

短時間に大量の電離放射線に被曝したことで発症する急性放射線症候群に対する薬物は、米国で対核テロ対策の1つとして複数が開発中だが、まだ市販されるにはいたっていない。津波による福島第1原発事故により、こうした薬物が緊急に必要であることがはっきりしたが、認可された後の売れ行きも問題の1つだ。

Nature Medicine Blog ()

Nature 特別翻訳記事」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度