Volume 557 Number 7707

Editorials

英国は、EU離脱で先行きが見えなくなってしまった欧州トーラス協同研究施設(JET)に対し、今後の資金をきちんと確保すべきだ。

Brexit uncertainty threatens fusion-energy research p.611

doi: 10.1038/d41586-018-05283-x

日本は、臨床研究計画が了承された心臓病の幹細胞治療法に、期待されるような効果があることをしっかりと証明する必要がある。

Stem-cell tests must show success p.611

doi: 10.1038/d41586-018-05284-w

スペイン警察が使っている極めて有能なうそ発見システムから、意思決定をアルゴリズムやAIが行うことに関する懸念が浮かんでくる。

Police use a computer to expose false testimony p.612

doi: 10.1038/d41586-018-05285-9

News

日本で、誘導多能性幹(iPS)細胞を使用する心臓病治療法の臨床研究計画を厚生労働省が了承。

‘Reprogrammed’ stem cells approved to mend human hearts for the first time p.619

doi: 10.1038/d41586-018-05278-8

ミュー粒子を利用する画像化技術ミュオグラフィーが、ピラミッドや火山内部、核廃棄物などの調査で主流に。

Muons: the little-known particles helping to probe the impenetrable p.620

doi: 10.1038/d41586-018-05254-2

米国では、医学分野に進むアフリカ系アメリカ人男性が顕著に減少していることが明らかに。

Share of African American men going into medicine hits historic low p.621

doi: 10.1038/d41586-018-05203-z

「二酸化炭素排出ゼロ」発電を目指す米国NET Power社の発電所のプロトタイプが完成し、燃焼器の性能テストへ。

Innovative zero-emissions power plant begins battery of tests p.622

doi: 10.1038/d41586-018-05247-1

米国特許商標庁の知的所有権に関する指針が変更となり、抗体特許の保全に大学や研究機関が大わらわ。

Rush to protect lucrative antibody patents kicks into gear p.623

doi: 10.1038/d41586-018-05273-z

News Features

経済学:貧困対策の実験

Money for nothing: the truth about universal basic income p.626

自由に使える一定額の現金を定期的に給付する「最低所得保障」制度の検証実験が、貧困国を含めた複数の国で行われている。

doi: 10.1038/d41586-018-05259-x

News & Views

分子生物学:幹細胞の忠実度の自己防御

Molecular biology: HP1 proteins safeguard embryonic stem cells p.640

HP1タンパク質を含む複合体が、特定の調節性DNA配列と結合して、ゲノム領域の局所的な凝集を促進するとともに、特定の細胞系譜への分化を駆動する関連遺伝子を抑制することが、今回分かった。

doi: 10.1038/d41586-018-05188-9

量子物理学:光子がシミュレートする分子ダイナミクス

Quantum physics: Molecular dynamics simulated by photons p.641

分子の微視的挙動は、量子物理によって支配されているため、通常のコンピューターを用いたモデル化が難しいことがある。今回、フォトニックチップによって、そうした挙動をシミュレートする汎用プラットフォームが得られた。

doi: 10.1038/d41586-018-05245-3

免疫学:腸の分子が脳の炎症を制御する

Immunology: Brain inflammatory cascade controlled by gut-derived molecules p.642

腸の微生物が産生する代謝分子が、ミクログリアと呼ばれる脳の免疫細胞を活性化し、中枢神経系の炎症応答を仲介する信号をアストロサイトに出すことが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-018-05113-0

構造生物学:酵素によって明らかになった細菌のユビキチン化

Structural biology: Deciphering the catalytic mechanism of bacterial ubiquitination p.644

今回、構造解析によって、細菌の酵素が宿主タンパク質へのタンパク質標識ユビキチンの付着を触媒する仕組みが明らかになり、病原性細菌が宿主細胞の機能を妨害する仕組みに光が当てられた。

doi: 10.1038/d41586-018-05250-6

量子物質:グラフェンのエッジにおけるスピン

Quantum materials: Spinning on the edge of graphene p.645

今回、炭素の二次元形態であるグラフェンのエッジに、長い間探し求められていた磁性の証拠が見つかった。この知見によって、量子コンピューターに必要な論理ゲートの開発が可能になるかもしれない。

doi: 10.1038/d41586-018-05240-8

合成生物学:多様な未来に向かって進む酵母

Synthetic biology: Synthetic yeast genome reveals its versatility p.647

再設計された酵母ゲノムは、オンデマンドで大幅に再配列できるよう構築されている。今回、一連の研究によって、このゲノムシャッフリングシステムの汎用性が明らかになり、生物工学の応用に利用する方法が示された。

doi: 10.1038/d41586-018-05164-3

回顧:50年にわたりがん研究を推し進めてきた成果

In retrospect: Fifty years since DNA repair was linked to cancer p.648

1968年に、DNA修復のある異常が、人々を太陽光に対して極端に敏感にする疾患の根底にあることが見いだされた。この知見は、がんの原因、診断、治療の研究に影響を及ぼし続けている。

doi: 10.1038/d41586-018-05255-1

Analysis

気候変動:新たに明らかになった全球の利用可能な淡水量の変化傾向

Emerging trends in global freshwater availability p.651

doi: 10.1038/s41586-018-0123-1

Articles

量子物理学:フォトニクスを用いて分子の振動量子ダイナミクスをシミュレートする

Simulating the vibrational quantum dynamics of molecules using photonics p.660

doi: 10.1038/s41586-018-0152-9

神経科学:錐体細胞による介在ニューロンの生存調節が皮質ネットワークを形作る

Pyramidal cell regulation of interneuron survival sculpts cortical networks p.668

doi: 10.1038/s41586-018-0139-6

構造生物学:レジオネラ菌のエフェクターSdeAによるユビキチン修飾の構造基盤

Structural basis of ubiquitin modification by the Legionella effector SdeA p.674

doi: 10.1038/s41586-018-0146-7

遺伝学:エピジェネティックな遺伝における液体様凝縮体の時空間的調節

Spatiotemporal regulation of liquid-like condensates in epigenetic inheritance p.679

doi: 10.1038/s41586-018-0132-0

Letters

天文学:微細電荷を持つ少量の暗黒物質は初期宇宙においてバリオンを冷却した可能性がある

A small amount of mini-charged dark matter could cool the baryons in the early Universe p.684

doi: 10.1038/s41586-018-0151-x

核物理学:天体物理学的エネルギーでの共鳴による12C + 12C核融合反応率の増大

An increase in the 12C + 12C fusion rate from resonances at astrophysical energies p.687

doi: 10.1038/s41586-018-0149-4

量子材料:グラフェンナノリボンの磁性エッジ状態とコヒーレント操作

Magnetic edge states and coherent manipulation of graphene nanoribbons p.691

doi: 10.1038/s41586-018-0154-7

ナノスケール材料:ファンデルワールス金属–半導体接合におけるショットキー–モット限界への接近

Approaching the Schottky–Mott limit in van der Waals metal–semiconductor junctions p.696

doi: 10.1038/s41586-018-0129-8

表面化学:ナトリウムイオンの界面輸送に及ぼす水和数の影響

The effect of hydration number on the interfacial transport of sodium ions p.701

doi: 10.1038/s41586-018-0122-2

古生物学:イタリア・アルプスに由来する中期三畳紀のトカゲから明らかになった有鱗類の起源

The origin of squamates revealed by a Middle Triassic lizard from the Italian Alps p.706

doi: 10.1038/s41586-018-0093-3

生態学:種の喪失が対照的な生態系において群落特性に与える長期的な影響

Long-term effects of species loss on community properties across contrasting ecosystems p.710

doi: 10.1038/s41586-018-0138-7

幹細胞:Notch–コラーゲンV–CALCRによる相互のシグナル伝達により筋幹細胞がそのニッチで保持される

Reciprocal signalling by Notch-Collagen V-CALCR retains muscle stem cells in their niche p.714

doi: 10.1038/s41586-018-0144-9

ウイルス学:抗体の動態および感染歴を再構築してデング熱のリスクを評価する

Reconstruction of antibody dynamics and infection histories to evaluate dengue risk p.719

doi: 10.1038/s41586-018-0157-4

免疫学:微生物代謝産物への応答におけるミクログリアによるアストロサイトの制御

Microglial control of astrocytes in response to microbial metabolites p.724

doi: 10.1038/s41586-018-0119-x

構造生物学:レジオネラ菌の単一のエフェクターによって起こるホスホリボシル基によるユビキチン化の機構

Mechanism of phosphoribosyl-ubiquitination mediated by a single Legionella effector p.729

doi: 10.1038/s41586-018-0147-6

構造生物学:ホスホリボシル基で連結されるセリンユビキチン化の触媒と機能に関する考察

Insights into catalysis and function of phosphoribosyl-linked serine ubiquitination p.734

doi: 10.1038/s41586-018-0145-8

分子生物学:ADNPはHP1とCHD4を動員して細胞系譜指定に関わる遺伝子を制御する

Activity-dependent neuroprotective protein recruits HP1 and CHD4 to control lineage-specifying genes p.739

doi: 10.1038/s41586-018-0153-8

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