Nature ハイライト
分子生物学:ADNPは調節複合体を形成して遺伝子発現を抑制する
Nature 557, 7707
ADNP(activity-dependent neuroprotective protein)は胚の発生に不可欠な転写因子だと考えられており、ADNP遺伝子の変異は、神経発達障害であるHelsmoortel–Van der Aa症候群の原因となる。今回M Bühlerたちは、ADNPがクロマチンリモデリング因子CHD4やヘテロクロマチンタンパク質HP1と相互作用して複合体ChAHPを形成し、ヒストンH3リシン9のトリメチル化(H3K9me3)修飾とは独立に遺伝子発現を抑制することを明らかにしている。ChAHPは、神経外胚葉の分化中に内胚葉遺伝子の転写を抑制して、細胞系譜の正しい指定を保証する。Helsmoortel–Van der Aa症候群の患者で見つかった変異は、このChAHP複合体の完全性を破壊する。
2018年5月31日号の Nature ハイライト
気候変動:陸域の貯水量の定量化
量子物理学:フォトニックシミュレーションによる分子ダイナミクス研究
神経科学:ニューロンのバランスを取る
構造生物学:原核生物が隠し持つユビキチン化の仕組み
核物理学:大質量星内で促進される炭素燃焼
量子材料:グラフェンナノリボンの磁性
表面化学:界面におけるイオン輸送
幹細胞:Notch–コラーゲンV–カルシトニン受容体シグナル伝達が幹細胞の静止状態を維持する
免疫学:ミクログリアによるアストロサイト機能の制御機構
分子生物学:ADNPは調節複合体を形成して遺伝子発現を抑制する