Nature ハイライト
Cover Story:トカゲ類の起源:Megachirellaの化石の分析によって爬虫類の系統樹の空白が埋まった
Nature 557, 7707
表紙は、中期三畳紀のトカゲMegachirella wachtleriの想像図である。イタリア・アルプスで発見されたこの生物の化石は、2003年に初めて記載された。今回、T Simõesたちは、高分解能マイクロフォーカスX線コンピューター断層撮影を用いた、この化石の詳細な分析について報告している。その結果、トカゲ類やヘビ類を含む爬虫類の一群である有鱗類の起源に新たな光が当てられた。著者たちは、M. wachtleriが既知最古の有鱗類化石より7500万年古いことを見いだしており、これによって化石記録の空白が部分的に埋められた。さらに、系統発生解析からは、有鱗類の進化においてヤモリ類がイグアナ類よりも早く出現したことが示され、主要な爬虫類系統の最初の多様化が、2億5200万年前のペルム紀–三畳紀境界より前に生じていたことが明らかになった。
2018年5月31日号の Nature ハイライト
気候変動:陸域の貯水量の定量化
量子物理学:フォトニックシミュレーションによる分子ダイナミクス研究
神経科学:ニューロンのバランスを取る
構造生物学:原核生物が隠し持つユビキチン化の仕組み
核物理学:大質量星内で促進される炭素燃焼
量子材料:グラフェンナノリボンの磁性
表面化学:界面におけるイオン輸送
幹細胞:Notch–コラーゲンV–カルシトニン受容体シグナル伝達が幹細胞の静止状態を維持する
免疫学:ミクログリアによるアストロサイト機能の制御機構
分子生物学:ADNPは調節複合体を形成して遺伝子発現を抑制する