Nature ハイライト
量子材料:グラフェンナノリボンの磁性
Nature 557, 7707
単層の炭素原子からなるグラフェンは、電気特性、光学特性、機械特性が極めて優れているため、しばしば「ワンダーマテリアル」と呼ばれている。さらに、理論予測からは、興味深い磁気的振る舞いを示す可能性も示唆されている。しかし、エッジの原子制御が必要で、磁性を示すはずであると提案された終端の多くは化学的に不安定であるため、磁気的振る舞いを実験的に実現することはこれまで困難だった。今回L Boganiたちは、溶液を用いたボトムアップ分子合成法によって、スピンを有する安定したラジカルで官能基化した非局在化磁性エッジ状態を持つグラフェンナノリボンを実証している。著者たちは、この磁性グラフェンナノリボンのスピン状態を、室温でコヒーレントに操作し、スピントロニクスや量子計算への応用の可能性を開いている。
2018年5月31日号の Nature ハイライト
気候変動:陸域の貯水量の定量化
量子物理学:フォトニックシミュレーションによる分子ダイナミクス研究
神経科学:ニューロンのバランスを取る
構造生物学:原核生物が隠し持つユビキチン化の仕組み
核物理学:大質量星内で促進される炭素燃焼
量子材料:グラフェンナノリボンの磁性
表面化学:界面におけるイオン輸送
幹細胞:Notch–コラーゲンV–カルシトニン受容体シグナル伝達が幹細胞の静止状態を維持する
免疫学:ミクログリアによるアストロサイト機能の制御機構
分子生物学:ADNPは調節複合体を形成して遺伝子発現を抑制する