Nature ハイライト
微生物学:細菌相、胆汁酸、長寿
Nature 599, 7885
腸内細菌相の組成は加齢とともに変化し、この組成は、健康な老化だけでなく、疾患感受性にも関係している。本田賢也(慶應義塾大学ほか)たちは今回、日本人の百寿者(100歳以上の人)のコホート研究で、高齢者や若齢者と比較した場合、百寿者では、さまざまなリトコール酸(LCA)(イソリトコール酸、3-オキソLCA、アロLCA、3-オキソアロLCA、イソアロLCA)などの特有の二次胆汁酸を産生できる腸内細菌が増加していることを示している。培養スクリーニングにより、これらはOdoribacteraceae科に属する細菌であることが特定され、これらの細菌がコードするイソアロLCA産生の主要な酵素と生合成経路が報告された。また、イソアロLCAが、さまざまなグラム陽性腸内病原菌の増殖をin vitroで抑制することや、ディフィシレ菌(Clostridioides difficile)感染においてその増殖からマウスを防御することが実証された。著者たちは、独特の胆汁酸代謝能力を持つこれらの細菌株を利用して、健康利益のために胆汁酸プールを合理的に操作することが可能かもしれないと示唆している。
2021年11月18日号の Nature ハイライト
物性物理学:2つの物質の界面のフォノンの測定
航空宇宙工学:ヨウ素を推進剤にしたエンジン
無機化学:カリホルニウムの化学
気候科学:地表面温度パターンの持続性を変えると予測される気候変動
生理学:メラノコルチン3受容体が栄養の充足を思春期のタイミングと結び付ける
神経科学:宝の地図は眼窩前頭皮質にあり
微生物学:細菌相、胆汁酸、長寿
免疫学:重症疾患に対する有効性を高めたFc最適化抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体
細胞生物学:プロテアソームの核への道のり
分子生物学:RNAを介するトランスポゾン挿入機構
構造生物学:未変性のグリシン受容体はどんな格好なのか