Nature ハイライト

微生物学:細菌相、胆汁酸、長寿

Nature 599, 7885

腸内細菌相の組成は加齢とともに変化し、この組成は、健康な老化だけでなく、疾患感受性にも関係している。本田賢也(慶應義塾大学ほか)たちは今回、日本人の百寿者(100歳以上の人)のコホート研究で、高齢者や若齢者と比較した場合、百寿者では、さまざまなリトコール酸(LCA)(イソリトコール酸、3-オキソLCA、アロLCA、3-オキソアロLCA、イソアロLCA)などの特有の二次胆汁酸を産生できる腸内細菌が増加していることを示している。培養スクリーニングにより、これらはOdoribacteraceae科に属する細菌であることが特定され、これらの細菌がコードするイソアロLCA産生の主要な酵素と生合成経路が報告された。また、イソアロLCAが、さまざまなグラム陽性腸内病原菌の増殖をin vitroで抑制することや、ディフィシレ菌(Clostridioides difficile)感染においてその増殖からマウスを防御することが実証された。著者たちは、独特の胆汁酸代謝能力を持つこれらの細菌株を利用して、健康利益のために胆汁酸プールを合理的に操作することが可能かもしれないと示唆している。

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