Nature ハイライト 物性:熱を帯びる高温超伝導体探し 2008年5月15日 Nature 453, 7193 高温超伝導を示す新材料探しが再び活発になっている。ランタンとヒ素を含む複雑な鉄系酸化物は、フッ素イオンをドーピングすると約26 Kの転移温度(Tc)を示すことが最近見いだされた。これは素晴らしい結果だが、銅酸化物系超伝導体の転移温度の高さとは比べものにならない。高橋博樹たちは今回、約4万気圧の圧力を加えることによって、この材料のTcを約43 Kまで大幅に上昇できることを示している。これは、非銅系材料の報告では最高のTcである。しかも、この記録はすぐに破られそうだ。というのは、この種の「鉄オキシプニクタイド」は複雑な化合物であり、かなり自由に化学組成を変えられるからだ。つまり、さらに高い転移温度の報告が期待できる。この論文、および新しい超伝導材料探索への期待については、本誌4月24日号のEditorial(452:914; 2008)で論じられている。 2008年5月15日号の Nature ハイライト 物性:熱を帯びる高温超伝導体探し 気象:気候への人間の影響を見つけ出す 細胞:ヌクレオソームのマップ作成 生物物理:ロドプシンの構造 宇宙:衛星の極移動 材料:実用化が近いポラリトロニクス 生理:磁気を感じとる 生理:重金属を集める植物 疫学:代謝プロファイリングでリスクを予測 目次へ戻る