Nature ハイライト 気象:気候への人間の影響を見つけ出す 2008年5月15日 Nature 453, 7193 気温が徐々に上昇してきたのにつれて、自然界に存在する生物系や物理系の多くが変化しつつある。こうした変化は大陸のすべてと海洋のほとんどで、少なくとも1970年以降に生じてきた。今回、観察された変化を人間活動が原因の気候変化と初めて本格的に結びつけた論文が発表された。この研究は、最近発表されたIPCC報告書よりも大規模なデータベースを使ったメタ解析の結果で、土地利用の変化などの複雑な状況を考慮に入れている。そして著者たちは、人為起源の気候変化は物理系や生物系に全球的な規模で影響を与えていると結論している。しかし、F ZwiersとG HegerlはNews & Viewsで、2段階の推論を行うjoint attributionの原理に基づく今回の論証は、人間活動と観察された変化とを、気候システムへの影響を介するのではなく、直接に結びつける「エンドツーエンド」モデルが与えると考えられる統計的確実性には至らないことを指摘している。 2008年5月15日号の Nature ハイライト 物性:熱を帯びる高温超伝導体探し 気象:気候への人間の影響を見つけ出す 細胞:ヌクレオソームのマップ作成 生物物理:ロドプシンの構造 宇宙:衛星の極移動 材料:実用化が近いポラリトロニクス 生理:磁気を感じとる 生理:重金属を集める植物 疫学:代謝プロファイリングでリスクを予測 目次へ戻る