Nature ハイライト 宇宙:衛星の極移動 2008年5月15日 Nature 453, 7193 ボイジャー、ガリレオ、ニューホライズン探査機からの画像データを使って、木星の衛星エウロパ表面にある湾曲した同心円状の溝の地図が作られた。このような地形は、最大のもので長さ数百キロメートル、深さ1.5キロメートルのほぼ完全な円で、これまで太陽系でみられたどのような地形とも異なっている。エウロパの極移動は、浮遊している外側の氷殻がその下にあるコアに対して向きを変えることで起こるが、これが、エウロパ表面に多数みられる大規模地形のうちの一部を作り出したのかもしれないと考えられてきた。しかし、全球的な移動が引き起こすと思われる地殻応力パターンとよく一致する全球的な地形は、これまで見つかっていなかった。だが、これらの「新しい」地形は、80°の極移動に起因する地殻応力のパターンと非常によく一致している。これは多分、この形成過程がエウロパで生じているという最初の具体的な証拠であり、土星の衛星エンセラダスの同様な自転についても同じことがいえそうだ。 2008年5月15日号の Nature ハイライト 物性:熱を帯びる高温超伝導体探し 気象:気候への人間の影響を見つけ出す 細胞:ヌクレオソームのマップ作成 生物物理:ロドプシンの構造 宇宙:衛星の極移動 材料:実用化が近いポラリトロニクス 生理:磁気を感じとる 生理:重金属を集める植物 疫学:代謝プロファイリングでリスクを予測 目次へ戻る