Nature ハイライト

医学:樹状細胞とHIV-1

Nature 467, 7312

HIV-1(ヒト免疫不全ウイルス1)感染では、感染細胞でインターフェロン産生誘導が起こらないが、それがどういう機序によるのかはわかっていない。皮膚、粘膜やリンパ組織にみられる免疫細胞である樹状細胞は、自然免疫によるウイルス検出と特異的な適応免疫にかかわるほかの免疫細胞の活性化を仲介している。しかしHIVに関してはそうではない。樹状細胞は確かにウイルスと結合し、ヘルパーT細胞の感染を助けるのだが、HIV感染には抵抗性を示す。今回、サル免疫不全ウイルスのSIVmac由来のVpxアクセサリータンパク質への樹状細胞の暴露により、通常みられるHIV感染抑制を回避すると、HIVはI型インターフェロン応答およびT細胞活性化を誘導するようになることがわかった。HIV-1の病原性は、樹状細胞に侵入しないことで自然免疫を回避するというこの性質と関係があるのかもしれない。また、HIV-1のこういう戦略を操作してやることは、ワクチンの設計に関連してくる可能性がある。

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