Nature ハイライト
遺伝:低分子RNAを介して受け継がれる生殖系列の不死性
Nature 489, 7416
線虫(Caenorhabditis elegans)でのRNA干渉(RNAi)による遺伝子サイレンシングは、5世代以上にわたって遺伝することがある。S Kennedyたちは、RNAiサイレンシングシグナルが次世代以降に伝達されない変異を探して遺伝学的スクリーニングを行い、核に局在するArgonauteタンパク質を見つけ出してHRDE-1と命名した。このタンパク質は低分子干渉RNAに結合して、二本鎖RNAが導入された個体の子孫の生殖細胞で働き、サイレンシングが複数世代にわたって遺伝されるのを助ける。RNAi遺伝機構が持つ生物学的な機能の1つは、「生殖系列の不死性」を、妊性を促進する能力によって選ばれた低分子RNAという形で、世代の境界を越えて伝えることであると著者たちは考えている。
2012年9月20日号の Nature ハイライト
物性:ボースグラス相を調べるよい方法
神経科学:ナトリウムチャネル変異体と自閉症の関連
宇宙:重力レンズでとらえた若い銀河
材料:熱で発電する新材料
気候:午後の雨
社会心理学:寛大さはタイミングの問題
生態:蘚類とトビムシの長い付き合い
脳:注意の中心的領域は脳のどこに?
発生:神経筋接合部からの誤ったシグナル
医学:マラリア抵抗性の遺伝的シグナル
遺伝:低分子RNAを介して受け継がれる生殖系列の不死性