Nature ハイライト
Cover Story:脳の地図帳:ヒトの脳の分子トポグラフィーが前例のない精度で作成された
Nature 489, 7416
ゲノム全域にわたる遺伝子発現状況を示す高分解能地図は、マウスについては数年前から使用可能だったが、ヒトの脳に関しては、サイズが1,000倍にもなること、また死後組織の入手可能性とその質に限りがあるという難問のために、相対的に精度の低い発現地図が発表されていただけだった。今回、アレン脳科学研究所(米国ワシントン州シアトル)のM Hawrylyczたちのグループは、健康だった2人の男性の脳を900に細分した小区画について、6万個の遺伝子発現プローブを使い、レーザーマイクロダイセクションおよびマイクロアレイを用いて検討した。こうして作られたアトラスはwww.brain-map.orgで自由に使用できる。また、ヒトとその他の動物との比較も可能であることから、ヒトの神経疾患および精神疾患の研究を加速させるものとなるだろう。すでにこのデータから、海馬のカルシウム結合タンパク質CALB1は、マウスおよびアカゲザルと比較した場合、ヒトで特異的なパターンを示すという結果が得られている。
2012年9月20日号の Nature ハイライト
物性:ボースグラス相を調べるよい方法
神経科学:ナトリウムチャネル変異体と自閉症の関連
宇宙:重力レンズでとらえた若い銀河
材料:熱で発電する新材料
気候:午後の雨
社会心理学:寛大さはタイミングの問題
生態:蘚類とトビムシの長い付き合い
脳:注意の中心的領域は脳のどこに?
発生:神経筋接合部からの誤ったシグナル
医学:マラリア抵抗性の遺伝的シグナル
遺伝:低分子RNAを介して受け継がれる生殖系列の不死性